 |
 |
| 「JAPAN SWIM 2005 大会の見どころ」 |
 |
読売新聞東京本社運動部
吉見 光次 |
 |
「アテネから北京へ」――日本競泳陣のメダルラッシュに沸いたアテネ五輪から8か月が過ぎた。活躍した選手たちは、十分な休暇を取ったり、あるいは、早めの練習再開や海外遠征で次のシーズンに備えたりと、様々な選択肢を採った。そんな選手たちにとって、重要な再出発の舞台となるのが、今回の日本選手権だ。
文字通り、日本チャンピオンを決める大会であるが、加えて今大会の結果から、7月の世界選手権(カナダ・モントリオール)派遣選手も決まる。現役を続行し、新たに世界の頂点を目指すアテネのメダリスト、代表選手たちと、厚い先輩たちの壁を打ち破って、世代交代を狙う若手スイマーたちが、レベルの高い泳ぎで競り合って、見応えのあるレースを演じてくれそうだ。 |
|
 |
【自由形】
最大の注目は、女子の中長距離だ。アテネ五輪の800m金メダリスト、柴田亜衣(チームarena)と、400m、800m、1500mの日本記録保持者、山田沙知子(コナミ西日本)が、400m、800mの2種目で直接対決。今大会全種目の中で、最もハイレベルのしのぎ合いを演じることは間違いない。山田は今大会の800mを7連覇中と長く日本の頂点に君臨しているが、五輪では力を出し切れず、まさかの予選落ち。一方、山田の陰で目立たなかった柴田は、大一番で勝負強さを発揮し、一躍脚光を浴びた。今後も長く続きそうな2人の再対決からは、目が離せない。
世界の壁が厚い男子は、若手の台頭が望まれる。バタフライと掛け持ちで出場する20歳の松田丈志(中京大3年)は中長距離で、3月の春季JO杯で、50m短水路高校新記録を樹立した川内勇輝(福岡大1年)、19歳の成長株、伊藤真(東京SC)らは短距離で、それぞれ自己記録の更新を狙いたいところだ。 |
 |
【背泳ぎ】
男子のアテネ五輪100m銅メダリスト、森田智己(セントラルスポーツ)が上り調子だ。昨秋から、「体の幹となる部分を中心に、筋力強化を図った」効果が表れ、2月の日本短水路選手権では、50m、100m、200mの出場3種目すべて日本新記録を更新する快挙を成し遂げた。長水路プール(50m)に舞台を移しても、引き続き記録更新が期待される。
女子は、同五輪200m銅メダリストの中村礼子(東京SC)が、3月からの合宿期間中に足首を負傷し、本調子でない点が気がかり。3種目制覇した日本短水路選手権の状態に戻っていれば、間違いなく優勝候補最有力だけに、けがの完治を願いたいところだ。1月のワールドカップ(W杯)欧州シリーズに参戦し、200mを3戦連続優勝した伊藤華英(セントラルスポーツ)も差なく追っていて、激戦は必至だ。 |
 |
【平泳ぎ】
男子のアテネ五輪2冠(100m、200m)王者、北島康介(日本コカ・コーラ)が復調を果たしてきた。昨秋、約2か月を完全休養にあててリフレッシュ。1月には体調を崩すなど不安もあったが、試合になると俄然勝負強さを発揮。日本短水路選手権では、順当に100m、200mの2種目を制した。その後米国での高地合宿を経て、いよいよ今大会から本格始動。ライバルのハンセン(米)に塗り替えられた世界記録をさらに更新するため、今大会を良いステップとしたいところだ。
試合の白熱化という観点に立てば、北島の圧勝が予想される男子より、大混戦の女子の方が面白い。長く第一人者として君臨してきた田中雅美が、アテネ五輪を最後に引退。「ポスト田中」の座はまだ流動的だ。日本短水路選手権の100mと200mで、ともに高校新記録を出して優勝した北川麻美(大教イトマン大宮東)、50mを制した中村沙耶香(ニッタイSC)の高校3年生コンビには、世界選手権切符もかかる今大会が、大きなチャンスと言えよう。近い将来「日本の両エース」として活躍するために、今大会を貴重な踏み台としてほしいものだ。 |
 |
【バタフライ】
女子のアテネ五輪200m銅メダリスト、中西悠子(枚方SS)が、依然強さを発揮している。万全とは言えない出来だったにもかかわらず、日本短水路選手権の200mで日本記録を更新した。この時中西に次ぐ2位で、高校記録を更新した16歳の矢野友理江(コナミ西日本)も、将来性豊かな新鋭として楽しみな存在だ。
男子は、アテネ五輪200m銀メダリストの山本貴司(近大職)が、指導者としての勉強に専念するため、しばらく実戦を離れている。だが山本不在の間にも、後輩たちは順当に記録を伸ばしてきた。短距離では、1月のW杯ベルリン大会で、50mと100mの短水路日本新記録をマークした高安亮(コナミ東日本)が強く、200mでは自由形と掛け持ちの松田丈志が一歩リードしている。 |
 |
【個人メドレー】
女子は、日本短水路選手権の400mで日本新記録をマークした藤野舞子(拓大4年)が優勢。アテネ五輪代表の18歳、天野美沙(桐蔭横浜大1年)が、若さと勢いでどこまで迫れるか。
男子は、日本短水路選手権で100m、200m、400mの3種目制覇を達成した佐野秀匡(アクラブ調布)が、最大の成長株。ここで完敗したアテネ五輪代表の三木次郎(東京SC)は、50mプールに舞台を移して巻き返しを図る。
日本水泳連盟の青木剛・競泳委員長は「五輪のメダリストたちがほぼ顔をそろえ、ここに新鋭が挑むことで、日本競泳陣全体の層が厚くなる」と、今大会の充実したメンバー構成を歓迎する。新旧勢力入り交じって、日本全体の底上げにつながるレースぶりを見せてほしい。
|