TOP > 大会の見どころ
大会の見どころ

読売新聞東京本社運動部
吉見 光次

 今年の日本選手権は、例年より2週間開催時期を早めた。理由は、通常7月ごろに開催される世界選手権が、今年は四季が逆転する南半球のオーストラリア・メルボルンで3月に始まったため。4月1日まで大会が続くなら、日本代表選手が一度帰国して2週間空けるより、体調を試合用のピークに持っている状態で続けて参戦した方がタイムを出しやすい、という日本水泳連盟(水連)の配慮によるものだ。
 一方、代表に入れなかった数多くの「国内滞在組」も、この選手権で新年度の代表入り、または復帰を狙っている。主要国際大会が行われない今夏、8月に千葉で行われる「世界競泳2007イン ジャパン」が、来年の北京五輪に向けたプレ五輪に近い位置づけとなり、五輪を目指す選手たちにとっては、ステップ戦としてぜひ出場しておきたい舞台だ。日本水泳連盟の上野広治・競泳委員長(世界選手権日本代表監督)は「タイムの良い選手が増えれば、過去最高の約50人を選出して、1人でも多くの選手に国際経験を積ませたい」と、広く門戸を開く意向を示している。この代表入りを巡って繰り広げられる、「世界選手権組」対「国内滞在組」の見どころを種目別に追ってみた。



【自由形】

 女子の中長距離で、柴田亜衣(チームアリーナ)が一段と飛躍した。世界選手権では400m、1500mと連続で日本新をマークし、ともに銅メダル。今大会は400m、800mの出場だが、2冠だけでなく、さらなる記録更新も期待できそうだ。これに対して、同じ種目に挑戦する矢野友理江(コナミ西日本)がどこまで食い下がるかが焦点。世界選手権ではバタフライのみの出場だったが、アジア大会800m金の実績もあり、面白い存在だ。
 短距離は、水連が底上げを期待している種目だが、残念ながら世界選手権では、400mリレーの五輪出場権を獲得できなかった。三田真希(コナミ西日本)ら世界選手権組のほかに、日本短水路選手権の50m、100mで日本人最先着の岩崎優(アクラブ藤沢)ら新鋭の台頭も望まれる。
 男子中長距離は、松田丈志(speedo)が何種目制覇するかに注目。昨年のパンパシフィック選手権で国際舞台を経験した土岐健一(鶴岡SC)には、1500mでのタイム向上を期待したい。
 短距離では細川大輔(グンゼ)が、100mで日本人3人目の49秒台を世界選手権でマーク。昨年は代表落ちながら、最近調子を取り戻してきた日本記録保持者、佐藤久佳(日大)とのスピード対決はみものだ。50mでは、100分の3秒届かずに世界選手権の準決勝進出を逃した伊藤真(東京SC)が、国内最速の泳ぎで豪州の雪辱を図る。


【背泳ぎ】

 女子各種目とも、高いレベルの大激戦となりそう。全種目で中心となるのは中村礼子(東京SC)。アテネ五輪で銅を獲得した200mを得意としているが、世界選手権では100mでも銅を獲得して、短距離の速さに磨きがかかったことを示した。伊藤華英(セントラルスポーツ)も、ほぼ互角の力で迫る。さらに国内滞在組でも、昨年パンパシ代表に入った五十嵐貴美(鹿屋体大院)、アテネ五輪代表の寺川綾(ミズノ)らが上位を脅かしそう。
 男子の中心は森田智己(セントラルスポーツ)。3月の日本短水路選手権は、全種目とも日本新で制した。世界選手権代表の山口雅文(speedo)と古賀淳也(イトマン埼玉)が続くが、国内滞在組も、200m日本記録保持者の中野高(speedo)、昨年アジア大会で100m優勝の宮下純一(ホリプロ)と200m優勝の入江陵介(イトマン)が控え、勝機をうかがう。


【平泳ぎ】

 北島康介(日本コカ・コーラ)が完全復活した。故障に泣いた昨年とは見違えるように、冬場の調整に成功。世界選手権では100mで銀を獲得すると、続く200mで宿敵ハンセン(米)の風邪による棄権があったとはいえ、4年ぶりの金メダルを獲得した。
 しかしこの北島でさえ、日本選手権の200mは2年連続で負けているように、国内男子の選手層は厚い。世界選手権準決勝で無念の失格となり雪辱に燃える木村太輔(自衛隊体育学校)、2年前の世界選手権銅の今村元気(ムラサキスポーツ)、昨年北島の高校記録を破った立石諒(キッツウェルネス藤沢)と好選手ぞろい。3年ぶりの王座奪還を図る世界王者に、彼らがどこまで食い下がるかは興味深い。
 女子は、国内滞在組の田村菜々香(東海大)と種田恵(JSS長岡)が成長著しい。昨年の日本学生選手権200mで、2人は岩崎恭子がバルセロナ五輪金メダルを獲得した時のタイムを上回り、歴代ランクで田中雅美に次ぐ2、3位に浮上。世界選手権の100、200mで準決勝まで進んだ北川麻美(大教イトマンSS大宮東)との対決は楽しみだ。


【バタフライ】

 男子の200mはハイレベルだ。昨年代表入りをかけて激しく争った柴田隆一(チームアリーナ)、松田丈志(speedo)、山本貴司(近大職)の3人は、引き続きしのぎを削る。特に、昨年のパンパシでこの種目の代表争いに敗れた山本は、ここで復活を懸ける思いは強い。50、100mでは、世界選手権代表の山本と高安亮(コナミ東日本)が一歩リード。
 女子の200mは、中西悠子(枚方SS)、矢野友理江(コナミ西日本)の世界選手権組に、15歳の成長株、秋山夏希(甲府SS)が挑む。50、100mは混戦だが、世界選手権では土肥亜也子(コナミ東日本)と加藤ゆか(山梨学院大)が、ともに50mで準決勝進出を果たした。その自信を背景に、今大会でさらなるレベルアップを図る。


【個人メドレー】

 男子は、アジア大会2種目優勝の佐野秀匡(speedo)が中心。200mなら高桑健(自衛隊体育学校)、400mなら谷口晋矢(自衛隊体育学校)の世界選手権組が続くが、アテネ五輪代表の三木二郎(speedo)、森隆弘(アカデミー長崎)も代表復帰を目指してタイムを伸ばしている。
 女子は、昨年の世界選手権選考レースで派遣標準タイムをクリアした選手が現れず、底上げが望まれる。2年前の世界選手権で2種目入賞した藤野舞子(キャラノ)の復活、さらには高校生の加藤和(福島SS)、中村咲子(東京SC)ら若手の飛躍を楽しみに待ちたい。

 上野広治・競泳委員長は「世界選手権組は疲れているところでどれだけ頑張れるかだ。逆に、国内に残っていた若手選手たちは、大いに今の代表組を脅かしてほしい」と、双方のせめぎ合いから、より好記録が生まれることを期待している。

 →BACK 
トピックス一覧
Official Poster
ポスター