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07年3月の世界水泳での森田の記憶といえば、「ダメですね」といいながら首を捻っている姿だった。100m8位、200m7位。思うような勝負ができずに終わった。だが過去の成績を振り返って見てみれば、世界水泳は05年モントリオール大会100mの4位が最高だ。アテネ五輪100m背泳ぎで銅メダルを獲得。メドレーリレーでは03年から表彰台の常連である彼が、個人種目のメダルはアテネだけであることに気がついて少し驚いた。そんな勘違いをしてしまうほどに、森田は強烈な存在感を持った選手なのだ。
男子100m背泳ぎの鈴木大地という壁、それが打ち破られたのが03年日本選手権だった。準決勝で錦織篤が、88年ソウル五輪で作られた55秒05を0秒56更新した。だが、主役の座をスルッと奪ってしまったのが森田だった。決勝では錦織の記録には及ばないものの、二人目の55秒突破を果たして優勝をさらった。男子背泳ぎの顔になった彼は04年に2度日本新を出し、06年にそれを53秒85まで伸ばした。だが昨年はベストが54秒13と足踏みをした。
今年2月の競泳ジャパンオープンでは50mと200mで自身が持つ日本記録を更新したが、「スピード練習に取り組み始めたのは最近なので」と表情を緩めなかった。世界記録は07年に52秒98まで伸び、53秒台中盤の選手も増えてきた。北京で勝負するためには、53秒台前半のタイムは絶対条件と覚悟するからだ。
169pの身体が大きく見える時、それは彼が夢を実現する瞬間に他ならない。
※写真は競泳ジャパンオープン2008より
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