| 大会の見どころ |
 |
朝日新聞スポーツ部
由利 英明 |
 |
2006年シーズンは、長く、しかも密度の濃いシーズンとなる。8月のパンパシフィック選手権(カナダ)、12月のアジア大会(カタール)、そして来年3〜4月の世界選手権(オーストラリア)と、重要な国際大会が続く。北京五輪を見据える選手たちは、海外から有力選手が参加する日本短水路選手権・競泳ジャパンオープン2006をステップにして、飛躍を狙う。
海外からは10カ国・地域が参加。2003年世界選手権バルセロナ大会と2004年アテネ五輪、2005年世界選手権モントリオール大会のメダリスト計15人がエントリーする。そのうち6人が優勝経験者だ。迎え撃つ日本選手も、五輪や世界選手権のメダリストがほぼ顔をそろえた。台頭してきた新鋭たちとともに、世界の強豪と競う。 |
|
 |
【自由形】
女子800mはアテネ五輪金メダリストの柴田亜衣(チームアリーナ)がリードしている。連戦の疲れから泳ぎが乱れた昨シーズンを反省して体力アップに取り組み、1月のワールドカップ(W杯)ではストックホルムとベルリンの両大会を制した。400mはその柴田と、アテネ五輪200mで優勝したポテク(ルーマニア)の一騎打ちとなりそうだ。50mと100mは日本勢がやや力不足。アテネ五輪50m4位のアルシャマール(スウェーデン)と、中国勢の争いとなる。
世界の壁が厚かった男子の短距離は、長水路(50mプール)で日本人として初めて50秒を突破した大学1年の佐藤久佳(日大)が注目される。泳ぎを改良し、さらなるスピードアップを図っている。100mと200mの日本記録保持者、細川大輔(GUNZE)も好調で、記録更新を狙える実力を持つ。50mでは伊藤真(東京SC)や川内勇輝(福岡大)も調子を上げており、レース展開次第では日本記録を期待できそうだ。400mと1500mはバタフライにも出場する松田丈志(中京大)が、W杯ストックホルム大会で日本記録を更新して安定している。05年世界選手権で400m5位、アテネ五輪で1500m7位だったコマン(ルーマニア)と、中国勢をまじえた戦いが予想される。 |
 |
【背泳ぎ】
男子はアテネ五輪100m銅メダリスト、森田智己(日大)が一歩リードしている。2005年世界選手権の個人種目ではメダルを逃したものの、W杯では50m、100m、200mの全3種目で日本記録を更新して立て直してきた。対抗するのが、50mと100mでは宮下純一(筑波大)、200mは中野高(イトマン昭島)の世界選手権代表組だ。
女子はアテネ五輪200mの銅メダリスト、中村礼子(東京SC)と、中国勢がレースの軸となる。中村はフォームの修正に試行錯誤しながらも、調子を上げつつある。その200mではW杯のストックホルム、ベルリンの両大会を制した伊藤華英(日大)が、安定感を増してきた。50mは05年世界選手権4位のベテラン、中村真衣(JSS長岡)が健在だ。 |
 |
【平泳ぎ】
男子はアテネ五輪2冠(100m、200m)の北島康介(日本コカ・コーラ)が、1月初めからの右ひじ痛のため欠場する。順調に回復しつつあるが、長いシーズンを見据えて大事を取った。大本命がいない中で、50mと100mは、アテネ五輪100mで銅メダルを獲得したデュボス(フランス)が有力だ。2月初めに来日し、北島らと一緒に練習しながら今大会に向けて順調に仕上げてきた。荒削りながら、パワーでは日本選手の追随を許さない。200mは05年世界選手権銅メダリスト、今村元気(ムラサキスポーツ)を中心に、タイムを伸ばしてきた川越大樹(中京大)らも加えて混戦となりそうだ。
女子はアテネ五輪100mの覇者、羅雪娟(中国)が50mにエントリーした。100mと200mは伸び盛りの高校3年生、北川麻美(イトマン大教大宮東)が軸になる。北川は05年世界選手権で代表入りを逃した悔しさをバネに、昨年の全国高校総体で日本歴代2位のタイムを記録するなど、順調に成長を続けてきた。世界選手権200m4位の種田恵(神奈川大)や、高校3年で世界選手権に出場した中村沙耶香(ニッタイSC)も、上位進出を伺う。 |
 |
【バタフライ】
男子は200mが激戦だ。05年世界選手権の銀メダリスト、松田丈志(中京大)と、同5位の柴田隆一(日大)が好調を維持している。さらに、昨シーズンは実戦から遠ざかっていたアテネ五輪銀メダリスト、山本貴司(近大職)が、本格復帰する。50mと100mは日本記録保持者の高安亮(コナミ東日本)と、W杯ニューヨーク大会で50mを制した河本耕平(ZEN HOLDINGS)が、他に差をつけている。
女子は200mでアテネ五輪銅メダルを獲得した中西悠子(枚方SS)が強い。練習の一環として出場したW杯でも、ストックホルム大会とベルリン大会で連勝した。アテネ五輪男子金メダリスト、フェルプス(米)らの泳ぎを参考にしたフォームに取り組み、日本記録更新も視野に入れている。そのベテランを、高校2年で05年世界選手権に出場した矢野友理江(コナミ西日本)が追っている。50mと100mは、世界選手権50mの銅メダリスト、アルシャマール(スウェーデン)と中国勢が競う。 |
 |
【個人メドレー】
女子は、05年世界選手権に出場した藤野舞子(拓大)が勢いに乗っている。W杯ベルリン大会で200mと400mを制し、日本記録も更新した。その後の国内合宿でも精力的に泳ぎ込んで、周囲からの評価は高い。200mでは中国勢との争いとなり、400mでは頭一つ抜けたレース展開になりそうだ。シドニー、アテネ両五輪の2冠(200m、400m)、 クロチコワ(ウクライナ)は、100mと200mにエントリーしている。
男子は05年世界選手権200mで5位、400mで6位だった佐野秀匡(アクラブ調布)が、1月のW杯で両種目とも日本記録を更新して調子を上げている。100mは、アテネ五輪と世界選手権の代表だった三木二郎(日大)や、高桑健(鹿屋体大)らの争いとなりそうだ。
|
日本水泳連盟の青木剛・競泳委員長は「今年はアテネ五輪と北京五輪の中間年で、大変重要な年となる。昨年から海外勢も出場する試合となったこの大会で、日本記録は10個くらい出て欲しい。新しい選手も絡んでくると思う」と話す。冬の短水路シーズンの総決算となる今大会。本番の夏に向けた熱い戦いが期待できそうだ。 |