北京五輪代表を逃し、現役から身を引くのかと心配された寺川が、見事な復活劇を演じたのは昨年4月の日本選手権だった。平井伯昌コーチを師事した彼女は、50mと100m、200mの3冠獲得で進化した姿を見せたのだ。 だが最大の目標であった世界水泳では、満足といえる結果を残すことができなかった。100mは準決勝敗退の11位。準決勝で自己ベストを出した200mは8位入賞を果たしたが、50mは27秒73の日本新を出しながらも準決勝敗退の9位と、急激な世界の進化からは取り残される結果に終わってしまった。
ただ、その屈辱の結果が、彼女の競技に対する方向性をハッキリさせたといっていいだろう。次への挑戦だ。11月のワールドカップストックホルム大会50mで26秒13の日本記録をマーク。100mと200mでは酒井に遅れをとったが、09~10年短水路世界ランキングでは、200mは3位、100mは7位とまだ追いつける位置にいる。今年に入ってからは長水路のコナミオープンで100m、200mとも優勝して酒井に先着。東京都選手権では2分09秒77を出すなど、強化はほぼ順調に進んでいる。3種目出場する競泳ジャパンオープンでも酒井や伊藤との対決になるが、是非ともトップの座を死守したいのは50mだろう。その優勝を果たした上で、残りの2種目をどう取っていくか。
4月の日本選手権へ向けた前哨戦。ベテランの意地がどうやって勢いのある若い力を押さえ込むかが、楽しみだ。
※写真は第85回日本選手権より